鋼鉄の神、鍛冶師カン・ムジン

第7章 — 鉱山の鎖

通路の中へ入ろうとするカン・ムジンの背後で、シルヴァナが低く言った。

「合図が完全に途絶えるか、日が傾くまでに戻らなければ、追っていきます」

カン・ムジンは短くうなずいた。

ドリアは岩陰にしゃがみ込んだまま坑道の入口を睨んでいた。普段なら鉱山の支柱から鉱石の色合いまで一言ずつ口を挟む彼だったが、今は旅用ハンマーの柄を太い手でこすっているだけだった。

「中で大きく二度鳴らせ。道を開けなきゃならんときは俺が行く」

「そんなことにならなければいいのですが」

「ゴホン。鉱山でそういうことは言うもんじゃない。崩れなければ幸い、崩れたらきっちり掘り抜くまでだ」

カン・ムジンは身を低くして坑道の中へ入った。

入口から二十歩ほど離れると日の光が途切れ、代わりに壁に掛けられた鉱石灯の赤い明かりが湿った床をかすかに舐めた。坑道は大人二人がすれ違うのがやっとというほど狭く、天井はドリアでさえ背を屈めねばならないほど低かった。木の支柱には黒いカビが生え、あちこちに岩が押し潰した跡が見えたが、鉱山を長く使ったせいだけではなかった。急いで鉱脈を追うあまり支柱の間隔を広く取りすぎ、水の染み出す亀裂もふさがぬまま、鉱石を掘る者の命より一日の産出量を前に置いた造りだった。

カン・ムジンは左手を壁に当てた。

石の中に埋もれた金属が手のひらへ押し寄せてきた。鉄鉱脈は黒ずんだ赤の帯となって下方へ斜めに続き、その傍らには質の悪い黄鉄鉱と少量の銅が混じっていた。床には折れたタガネとすり減ったツルハシの刃が散らばっており、さらに深いところでは数十の鉄環が感じられ、環はそれぞれ違う速さで動いていた。速いもの、遅いもの、ほとんど動かないもの。鉄鎖の震えをたどると人々の足取りとツルハシを振るう動きが指先に触れたが、その数はシルヴァナから聞いたよりも多かった。

カン・ムジンは息を殺したまま最初の分かれ道まで進んだ。右からは車輪がレールを擦る音が聞こえ、左からは荒々しい声とともに鞭が空を切る音が響いた。

「次の交代までに三台分を満たせ。基準量に届かない個体は食糧配給から除外する」

口調は落ち着いていたが、かえってそのぶん命令の中身がいっそう鮮明に聞こえた。

カン・ムジンは壁のくぼみに身を寄せて奥をうかがった。赤い肌に後ろへ反った角を持つ魔族が二人、松明の下に立っており、胸には森で見たのと同じ紋章が刻まれた鉄片鎧をまとっていた。角の生えた塔の下へ三本の鎖が垂れる印だった。

一人の魔族が、膝をついた人間の老人の肩を足で押した。老人は折れたツルハシの柄を握りしめて立ち上がろうとしたが、足首の鉄環が短くつながれていて、まともに身を起こせなかった。

「道具が折れました」

「だから貴様の生産性が落ちたのだ」

「新しいツルハシをいただければ満たします」

「道具の損失も貴様の取り分だ」

魔族が腰から鞭を外した。

カン・ムジンは床に転がった折れたツルハシの刃を感じ取った。鉄の目は粗く、炭素は片側に偏っていたが、使う前に一度きちんと熱して叩いてさえいれば、あんなふうに折れることはなかったはずの品だった。

鞭が振り上がる瞬間、カン・ムジンは指を曲げた。

床のツルハシの刃が跳ね上がって鞭の握りを打ち、魔族の手が横へねじれ、うめき声を上げるより先にカン・ムジンが闇の中から歩み出た。

「何者だ?」

もう一人の魔族が曲刀を抜いた。刃が鞘を離れる瞬間、カン・ムジンはその鉄の厚みと熱処理の具合を読み取った。峰は硬すぎ、茎には目に見えない亀裂が広がっていた。

彼が手のひらを開くと、曲刀が魔族の手の中で止まった。相手が腕に力を込めると刃はぶるりと震えたが、カン・ムジンが金属の目を逆の方向へ押しやると、短い破裂音とともに茎が折れ、刃が床へ落ちた。

カン・ムジンは間合いを詰めながらハンマーで魔族のみぞおちを打った。鉄片鎧が内へへこみ、相手が息を吐いて崩れ落ちると、鞭を持った魔族は腰の角笛をつかもうとした。

ベルトの金具が不意にねじれ、角笛を留めた輪が締まって指を挟み込む間に、カン・ムジンはそのまま踏み込んでハンマーの柄を顎の下へ突き上げた。

二人の魔族が床に倒れると、老人はカン・ムジンを見上げた。落ちくぼんだ目元とひび割れた唇のせいで、年齢は見当がつかなかった。

「あんたは……警備ではないのか?」

カン・ムジンは答える代わりに老人の足首の前にしゃがんだ。鉄環は古い血と鉱石の粉で固まっており、留め金には鍵穴の代わりに楔が打ち込まれていた。素早く嵌められ、容易には外せないようにした造りだった。

彼が親指で楔の頭を押した。

鉄がかすかに鳴りながら内へ押し込まれると環の噛み合わせが外れ、カン・ムジンは傷に触れぬよう両側へ広げた。

「歩けますか」

老人は皮の剥けた足首を見下ろしてから、壁に手をついて立ち上がった。

「歩かねばならんのなら」

「出口は後ろです。まだ外へは出ず、ほかの方々に静かに伝えてください」

老人の唇が動いたが声は出ず、代わりに彼は倒れた魔族の曲刀を拾おうとした。

カン・ムジンが先に刃を足で押さえた。

「それは置いていってください」

「こいつらが目を覚ましたら?」

カン・ムジンは魔族たちの鎧を手でなぞった。鉄片の縁が伸びて互いに噛み合い、腕と脚を包み込むと、床のレールに吸いついた。二人の魔族は鎧ごとトロッコの軌道に縛りつけられた。

「起き上がれません」

老人は何度も彼らを振り返りながら闇の中へ退いた。

カン・ムジンは再び手を壁に当てた。坑道全体の鉄が先ほどより鮮明につかめた。警備が帯びた剣と槍は合わせて十三、腰の鍵束が五つ、地上の作業場の方には弩が三挺まとまっていた。ところが奴隷たちの鉄環は四十を超えており、カン・ムジンはしばし感覚をさらに押し広げた。南の尾根の向こう、ほかの気配とはっきり離れた場所に、槍が一本だけ立っていた。ほとんど動きがないところを見ると、入口の外の監視位置を守る見張りらしかった。坑道の中の出来事とは無関係に思えたので、カン・ムジンはその気配を心の隅へ押しやり、再び奥へ意識を集めた。

その中の一つがひときわ荒々しく動いていた。

左手の下の坑道だった。鎖が引かれては緩むたびに一つの環がほかより大きくねじれ、その傍らでは槍の穂先が三つ、素早く揺れていた。

カン・ムジンは足を速めた。

傾斜が急になるにつれて空気はいっそう濁った。水と汗、錆びた鉄の匂いが絡みつき、床には血の跡が鉱石の粉とともに黒く固まっていた。下の空洞にたどり着くと、罵声と獣のうなり声が重なって聞こえた。

狼の耳を持つ男が膝をついていた。

乱れた灰色の髪の下で片耳が裂けており、あらわな上半身には鞭の跡が幾重にも残っていた。首には太い鉄枷が嵌められ、両手両足の鎖は空洞の中央の杭につながれていたが、それでも魔族の兵士三人は男を半円に囲んだまま、なかなか踏み込めずにいた。

男の足元には折れた槍の柄が転がっていた。

「頭を垂れろ、奴隷」

前に立つ魔族が槍の先で彼の肩を押したが、男は身を低くする代わりに歯をむき出した。

「首輪がなけりゃ声もかけられねえ奴が」

穂先が肩を刺して血が流れたが、男は退かず、鎖が張り詰めるほど前へ身を押し出した。

「一度でいい、近づいてみろ。首筋は食いちぎってやる」

魔族が槍を引くと、男の胸を蹴った。身体が後ろへ倒れる拍子に、右手首の黒い烙印があらわになった。鉄で焼かれた紋章は鎧の印と同じで、とうに癒えた跡の上へ再び火で重ねた痕まで残っていた。鉱山と商団が変わるたびに同じ場所へ所有の印を押し重ねたせいだった。

カン・ムジンの手がハンマーの柄を包んだ。

魔族の一人が人の気配に気づいて振り向いた。

「何者——」

カン・ムジンが床を踏んだ。

空洞を横切っていた古い鉄の軌道が跳ね上がり、留め釘が三本、石から抜け出て矢のように飛んだ。そして先に振り返った魔族の槍の柄と手首当てを貫き、壁に打ちつけた。

残る二人が同時に飛びかかった。

狭い空洞で槍は長すぎた。左の穂先がまず胸を狙い、右の槍は退路をふさごうと斜めに伸びてきたが、カン・ムジンは半歩内へ踏み込み、最初の槍の柄を肘で押しやった。同時に穂先の鉄を下へ引き寄せると先端が床に突き刺さり、彼はその柄を踏みつけながらハンマーで相手の手の甲を打った。

骨の砕ける音とともに槍が落ちた。

二人目の魔族の刃が脇腹をかすめた。カン・ムジンは身をひねったが上着は長く裂け、冷たい切っ先が皮膚を浅く裂いた。相手はその隙を逃さず槍を引き戻し、再び突こうとした。

カン・ムジンは穂先を素手でつかまず、手のひらを立てたままその中の鉄を感じ取った。質の悪い鉄は無理に真っ直ぐ伸ばされ、目が片側へ引き延ばされていた。だから彼は最も弱い部分に力を集めてねじった。穂先が横へ折れ曲がって魔族の体勢が崩れると、カン・ムジンのハンマーが肘の関節を経てこめかみの横で止まった。

倒れてくる身体をよけたカン・ムジンは、すぐさま壁に縫い留められた魔族へ歩み寄った。相手が口を開くと鎧の喉当てがせり上がって顎を閉じ、ハンマーの柄がみぞおちに食い込むと、魔族は白目をむいてぐったりと崩れた。

空洞が静まり返った。

狼獣人の男は倒れたままカン・ムジンを睨んでいた。瞳は黄褐色で、飢えで頬はこけていたが、その眼差しだけは鈍っていなかった。

「人間がなぜここにいる?」

「鎖を解きに来ました」

「魔族どうしで争う人間もいるのか?」

「私は魔族ではありません」

カン・ムジンは男の前に腰を下ろし、まず首の鉄枷を調べた。内側には肉に食い込む突起がついていて、無理に引くほど傷が広がる造りだった。鉄を広げること自体は難しくなかったが、一度に力を込めれば錆びた突起が肉を削ることになる。

「動かないでください」

「何をするつもりだ?」

「外します」

カン・ムジンは鉄枷の温度と厚みを指先で読みながら、力をいくつもの筋に分けた。噛み合った部分をまず緩め、突起の先を内側へ丸めて収めてから、首の曲線に沿って輪をゆっくり広げた。

冷たい鉄が床に落ちた。

男は首をさすらなかった。代わりに手首と足首の鎖が順に外れていく様を黙って見つめ、最後の環が落ちてからようやく指を何度か開いては閉じた。

「名前は何と言いますか」

「奴隷に名前を訊いてどうする?」

「奴隷ではないからです」

男の耳がほんのわずかに動き、彼はカン・ムジンの顔と倒れた魔族たち、足元の開いた鉄環を順に見回した。

「ラカン」

「カン・ムジンです」

「それでカン・ムジン。扉を開けておいて、みんな逃げろというわけか?」

「そのつもりです」

ラカンは呆れたように短く息を吐いた。笑いというより咳に近い音だった。

「ここに閉じ込められてるのが何人だと思ってる?」

「四十二人です」

今度はラカンの目の色が変わった。

「どうして分かった?」

「鉄は隠れられません」

カン・ムジンは身を起こした。

「動けるようなら、ほかの人たちを集めてください。戦える者が何人いるかも確かめて」

ラカンも壁に手をついて立ち上がった。長く鎖につながれていた脚が一度かくりと折れたが、彼は倒れた魔族から槍の柄を奪い、杖のようについた。

「命令する口ぶりだな」

「お願いです」

「どっちも同じだろ」

ラカンはぼやきながらもすぐ隣の坑道へ向かい、数歩進んだところで、振り返らずに尋ねた。

「逃げる途中で捕まったら?」

「捕まらないようにします」

「それをどう信じろって?」

カン・ムジンは倒れた魔族の武器を集めて手で押さえた。穂先と曲刀が曲がり、一つの塊に絡みついた。

「見てから決めてください」

ラカンはしばし耳を立ててから、また歩き出した。

カン・ムジンは空洞の外へ出て坑道の鉄をなぞった。最初に倒した警備はまだ軌道に縛られたままで、地上の兵力に動きはなかったが、交代の時刻が近いのか、遠くで鍵束が二つ、同じ方向へ動き始めた。

時間は多くなかった。

彼は最も近い鉄環から順にたどっていった。坑道ごとに人間と獣人、角の生えた亜人種たちが鉱壁の前に倒れ込み、あるいはツルハシを手に立っていたが、カン・ムジンが現れると、ある者は後ずさり、ある者は魔族の罠だと言って鉄環を隠した。カン・ムジンは長く説明しなかった。膝を折り、傷を確かめてから鉄を開いた。

手首の腫れた子どもからは環を半分に割って横へ抜き取り、皮膚と錆が絡みついた老人の鉄環は、水を注いで固まった血を洗い落としてから外した。錠の造りはまちまちだったが仕上げはどれも粗く、鍵がなくても外せた。ただし人を傷つけずに開くには、そのたび力の向きを変えねばならなかった。

二十人目あたりに差しかかると、カン・ムジンのこめかみに汗が伝った。鉄の祝福は鉄の状態を教えてくれたが、何をどう変えるかは彼自身が判断せねばならず、環ごとに肉の厚みも傷の位置も違うため、力をわずかでも誤れば、すでに弱った骨まで傷めかねなかった。彼は急ぎはしたが、手を焦らせはしなかった。

「次を」

ラカンが人々を連れて戻ってきたとき、その声には初めよりも力がこもっていた。

「歩ける者が二十三。支えれば動ける者が十一。残りは背負うしかない。戦えそうなのは……俺を入れて七人だ」

彼の後ろには人間の坑夫と猪獣人、小さな角の生えた亜人種の女たちが立っており、大半はツルハシか折れた柄を手にしていたが、武器を構える姿勢はてんでばらばらだった。

カン・ムジンは最後の鉄環を外しながら言った。

「戦わないことが先です。負傷者から入口側の分かれ道へ送ってください」

「警備を残したままか?」

「交代の兵が下りてきています」

「だから食い止めるんだろう」

「ここでぶつかれば退路がふさがれます」

ラカンは唇をめくって歯を見せたが、言い返しはしなかった。坑道の造りを知らない自分よりカン・ムジンのほうが確かだと判断したようだった。

「じゃあ何をするつもりだ?」

カン・ムジンは床のレールを見下ろした。鉱石を積んだトロッコが、上層の選鉱場まで続く傾斜路に止められており、制動装置は錆びていても車軸そのものは使えた。坑道の中の警備が一箇所に集まれば、道をふさぐことができる。

「音を立てねばなりません」

カン・ムジンは外した鎖を集めた。長さの違う鎖が床を這い上がるように動き、トロッコの車軸と支柱の間を縫って固く巻きつき、彼は制動金具を二つ手で伸ばし、最後の一つだけを掛けておいた。

「人々を移してください。上で大きな音がしたら壁に張りついて」

「あんたは?」

「残りの警備を呼び寄せます」

ラカンが彼の前に立ちふさがった。

「一人で全部やるつもりか?」

「通路が狭いのです」

「俺だって狭い」

ラカンは傷ついた肩で槍の柄を握り直した。立っているだけで脚が震えていたが、退く気配はなかった。

カン・ムジンはしばし彼を見つめてから、倒れた魔族の短い曲刀を拾い上げた。刃の均衡は悪く、柄はラカンの手には小さすぎたが、今あるもののうちではまだましだった。彼は峰を指でなぞって細かな亀裂を押しふさぎ、ラカンへ差し出した。

「後ろから来る者だけを止めてください」

ラカンは曲刀を受け取った。

「命令じゃなくて頼みなんだろ?」

「そうです」

「なら借りにしておく」

遠くから鉄板を踏む音が近づいてきた。

カン・ムジンは空のトロッコを一台押して坑道の真ん中に据えた。ほどなく曲がった通路の向こうから魔族の警備が四人姿を現し、その後ろには弩を手にした兵が二人続いていた。

先頭の魔族が開かれた鉄環に気づいた。

「警報を——」

カン・ムジンがトロッコの側面をハンマーで打った。

深く鈍い響きが坑道全体へ広がると同時に、天井に掛かった鉱石灯の鉄輪が外れて落ち、明かりが消えると空洞は瞬く間に闇へ沈んだ。

弩の弦が弾けた。

カン・ムジンは矢尻を二つ感じ取って手を伸ばした。一本はトロッコの側板に突き刺さったが、もう一本は向きが完全には逸れきらず彼の腕をかすめた。熱い痛みが広がったが、彼は退かずにトロッコを前へ押した。

警備たちが槍を立てて車輪を止めようとした。

カン・ムジンは車軸に巻いておいた鎖を解いた。重さに抗しきれなくなったトロッコが傾斜路に沿って動き出し、車輪がレールに当たるたびに速度が乗った。

「よけろ!」

魔族たちは隣の坑道へ身を投げたが、先頭の二人は逃れきれず、トロッコの前板に押されて軌道の端の積荷箱に激突した。

ガァン!

岩が鳴り、埃が天井から降り注ぎ、外まで届いたであろう轟音が坑道を長く伝って抜けていった。その震えの中で、カン・ムジンは南の尾根の向こうに漂っていた一本きりの槍の気配が、不意に揺らいでそのまま止まるのをかすかに感じ取った。握っていた手を放してしまったかのように、槍はその場に立ったままもう動かなかった。馴染みのない感覚だったが、今は目の前の通路が先だったので、カン・ムジンはその余韻をつかまえず、埃の中へ飛び込んだ。

倒れた魔族の一人が腰の剣を抜こうとしたが、鞘が鎧に貼りついて動かず、ハンマーが手首を打ち下ろすと悲鳴が上がった。

隣の坑道へ避けていた兵が槍を突き出してきた。

カン・ムジンは首を傾けて刃をかわした。切っ先が頬をかすめる間に柄の下へ潜り込み、肩で相手の胸を押しやると、続けてハンマーの頭を膝当てに引っかけて引いた。魔族が均衡を崩すと、ラカンが後ろから飛びかかった。

曲刀が鎧と腕の間へ食い込み、ラカンは傷のせいで最後まで押し切れなかったが、体ごとぶつかって相手を床へ押さえつけた。

「後ろだけ止めろと言ったろ!」

「前に来てしまいましたね」

「道がここしかないだろうが!」

ラカンがうなっている間に、残った弩兵が装填を終え、弦と掛け金の噛み合う音が闇の中で小さく響いた。

カン・ムジンは向きを読み取ったが、射線の間にはラカンがいた。

彼が手を握り込むと弩の引き金が曲がり、矢は放たれなかった。兵が慌てて武器を振る瞬間、坑道の入口の方から矢が一本飛んできて、弩の胴を貫き壁に打ちつけた。

「皆さん、頭を低く!」

シルヴァナの声が埃の向こうから響いた。続いて二本目の矢が飛び、突進してきた魔族の肩を貫いた。ドリアは低い天井に頭をぶつけそうな勢いで駆けてきて、旅用ハンマーを振るった。

「ゴホン! ずいぶん派手な合図だな!」

彼のハンマーが最後の警備の盾を横へ弾き飛ばすと、カン・ムジンは開いた隙間へ踏み込んで鎧の胸板を突き上げた。鉄片が内へ折れ込み、魔族は息を吐いて倒れた。

カン・ムジンはすぐさま周囲の金属を確かめた。

近い通路の中に動く武器はなく、それを確かめてからようやく、彼は先ほど止まった南の槍を思い返した。槍は監視の位置に捨てられていたが、その傍らを離れた見張りの腰の短剣と軍靴の鋲が、南の哨所の方へ速やかに遠ざかっていた。だが今この瞬間、彼がまず抱え上げねばならないのは、闇の中に残された四十人を超える人々だった。

「下の坑道に四十二人います。負傷者が多い」

シルヴァナは弦を緩めぬまま闇の中をうかがった。トロッコの衝突音を聞いてすぐ入ってきたのか息はやや速かったが、声は乱れていなかった。

「入口の警備三人は制圧しました。日が傾く前でしたが、あの音を合図と判断しました」

「よくやってくださいました」

ドリアは壊れたトロッコと曲がったレールを交互に眺めてから、髭を荒っぽく撫でつけた。

「トロッコを合図に使う職人は初めて見るぞ。車軸がもったいない」

「直せます」

「当然直してもらうぞ」

彼はぼやきながらもすぐ下の坑道へ向かった。負傷者を背負って上ってくる人間の老人を見つけると、黙って荷とツルハシを代わりに受け取り、シルヴァナはエルフ語と大陸共通語を交互に使いながら人々を入口へ導いた。

ラカンは壁にもたれて息を整えた。手にした曲刀の先は床に触れており、額を伝った冷や汗が顎を伝って首の古い鉄環の傷跡へ染み込んだ。

カン・ムジンが近づくと、彼は顔を上げた。

「外にも警備がいたのか?」

「いたようです」

「あのエルフとドワーフもあんたの味方か?」

「仲間です」

ラカンはシルヴァナとドリアが負傷者を運ぶ様子をしばらく見つめてから、足元に落ちた自分の鉄環を曲刀の先で裏返した。

「これは本当に終わったのか?」

「ここでは、そうです」

「ほかの鉱山もある」

ラカンの声が低くなり、彼は顔を上げて暗い坑道の奥を見つめた。

「俺もよそから売られてきた。ここへ来る前も、檻は人でいっぱいだった。魔族だけじゃない。金を受け取って引き渡す奴らもいるし、道を見逃してやる奴らもいる」

カン・ムジンは彼の言葉を遮らなかった。

鉄環が一つ終わったからといって、鎖の全体が消えるわけではなかった。この鉱山の鉄片鎧と番号を振られた武器、定められた交代と産出量は、どれもより大きな組織の痕跡であり、先ほど音もなく消えた見張り一人もまた、その組織のどこかへこの報せを運んでいくはずだった。

カン・ムジンは床の鉄環を拾い上げた。内側にはラカンの血と毛が乾いてこびりついており、留め金の脇には角の生えた塔の紋章が小さく刻まれていた。

「知っていることを、後で話してください」

ラカンが目を細めた。

「後で?」

「まずは外へ出ましょう」

カン・ムジンは身を翻して最も近い負傷者を背負った。体の小さな、角の生えた子どもで、あまりに軽く、鉱石の袋より目方がなかった。子どもの手首には鉄環の剥がれた跡が赤く残っていた。

人々は列を作って坑道を抜け出た。長く闇の中にいた者たちは入口の光が見えると、かえって足を緩め、幾人かは目を覆ってその場に座り込んだ。それでも誰一人、声を上げて泣くことも歓呼することもなく、外の空気を吸い込み、互いの顔を確かめ、解かれた手首を何度も撫でるばかりだった。

カン・ムジンは最後まで坑道に残って鉄の動きを確かめた。倒れた魔族たちの武器は一箇所に集めて曲げ合わせ、鎧は腕と脚が動かぬよう軌道に固定した。鉱山の支柱のうち金属の補強材が抜けた箇所には、折れたレールを切って当てがった。解き放ったからといって、坑道が崩れて人々を呑み込むのを放っておくわけにはいかなかった。

外へ出たとき、日は西の稜線に掛かっていた。

シルヴァナは負傷者の傷を縛りながらカン・ムジンを見やり、ドリアは入口脇の岩に腰かけてハンマーの埃を払い、ラカンは少し離れた場所から鉱山を見つめていた。首には鉄環の跡が、手首には重ねて押された烙印が残っていたが、少なくとも今、彼の身体に掛かった鉄はなかった。

カン・ムジンは懐から、森で拾った鎖の環と、たった今この鉱山で外した環を取り出した。大きさの違う鉄でありながら、同じ紋章が刻まれていた。

ドリアがそれを見下ろして髭をひねった。

「一つところで作られた品だな」

「そうです」

シルヴァナが包帯を結ぶ手を止めた。

「鉱山一つでは終わらない、という意味ですか」

カン・ムジンは二つの環を重ねて握った。冷たい鉄が手の中で触れ合い、低い音を立てた。

「鎖はつながっています」

彼が鉱山を振り返ると、入口の上の岩に刻まれた角の生えた塔の紋章が、夕暮れの影の中で黒く沈んでいた。

「最後まで追っていかねばなりません」

南へ抜け出た見張りの行方は分からなかった。その者が運んだ報せがどこへ届こうと、今夜のうちに誰かは、この鉱山が空になったことを知るはずだった。

この話の終わり 7

ReNovels · 一話ずつ、物語の中へ。

この話へのコメント

コメントは確認後に公開されます。

感想を書く

Your email address will not be published. Required fields are marked *